今回、見終わって率直に思った事は、「やはり、Blu-ray買ってよかった」です。
小松原さんの柔らかく繊細なタッチも、椋尾さんの叙情的な筆遣いも、
金田さんの力強い躍動感も、すべて当時劇場で観た、あの時の感覚のまま
見られます。
「劇場版・銀河鉄道999」は、綺麗なだけじゃなく、『美しい』映画です。
作画も背景も音楽も透過光もトレース線も、細心の注意を払って仕上げてあって、
Blu-ray化にあてり、それらの部分を、欠落させることなく、徹底的にレストアし
その美しさに更に磨きをかけています。
ああ、買ってよかった。
それでは頭から、当時の印象も織り交ぜつつ、Blu-ray版を検証。
長いです(^^;)マニアックです(^^;)。
冒頭:機関車の色!少しブルーがかった濃いグレーなんですが、
劇場で観たとおり忠実に再現されていて、重量感と生命力を感じさせます。
DVDではつぶれて見えなかった影の部分も、しっかり確認できます。
2分10秒:メインタイトル。映画が横長サイズなのを最初に印象づけるカット。
背景もタイトルロゴも美しい、完璧なレイアウト。
(ちなみに、上下の切れてない、4対3のテレビサイズ推奨派の方もいまますが、
東映動画の劇場作品は、上映時に上下をカットする事を前提に製作されてますので、
16対9の横長サイズがオリジナルだと、私は思ってます。
撮影スタジオにいた頃、東映の作品もいくつかやりましたが、フレームから外れる部分の、
傷や埃や仕上げミスは、ある程度無視してかまわないと教わりました。)
10分30秒頃:鉄郎回想。遠くを行く銀河特急の透過光、美しい。
この時の鉄郎は、原作やテレビの幼い鉄郎のままですが、劇場用に5歳成長させた設定は
原作を越えたと部分と言って良いと思います。このあと5年も、たった一人で生きて
成長して、メーテルに出会って、ようやくパスを手に入れるんですから。
21分40秒頃:機械化ポリスが鍵を壊すために使用した、バーナーの透過光。
微妙にグラデーションがかかってる部分も確認できます。どういう撮影技法なのか、謎。
27分50秒:「テイキング・オフ」の後の日の出。ここの撮影は、予告編の方がよかった。
透過光のマスク、ちょっとずれてる。惜しい。
(ちなみに予告編は、本編から抜粋するわけではなく、予告用に別に撮り下ろします。
撮影処理が微妙に違ってて興味深い)
35分55秒頃:惑星タイタン上。「機械人間を倒せる、ただひとつの銃、これが!?」の時に、
ちょいと、コスモガンを回転させる動画が好き。
43分50秒頃:冥王星付近、曇りガラスを手で拭く鉄郎。特殊効果班エアブラシと、
撮影班の消し込みが技術の、素晴らしいタッグ。
52分00秒頃:ガラスのクレア登場。あれ、こんなに時間経ってからなんだ。
57分55秒頃:エメラルダス登場。塗りむらが出やすい、エメラルダスの赤の衣装。
レストアしてあって、むらが押さえてある?
1時間02分頃:惑星ヘビーメルダーの背景が一番好きだ。劇場で観た時は溜息出た。
色もディテールも、そのまま再現されてる。
1時間05分頃:かおりくみこの唄。当時の印象とかわらず、それほど好きになれない。
雰囲気にはあってるかもしれないが、楽曲としては乗れない。
1時間11分頃:デスシャドウ内。「清酒美少年」が映った時、場内に笑いが起きてたっけ。
実在する清酒だと知るのはずっと後。
1時間14分頃:トチロー絶命。「キャプテンハーロック」とリンクする瞬間。当時、身震い。
1時間17分頃:ハーロック登場!牛乳瓶の蓋が、ハーロックの指の色に仕上げミス。
ここ、デジタル修復して欲しかった。
1時間20分頃:時間城潜入。鉄郎の動きや走りがタイガーマスクっぽいと当時思った。
小松原さんが原画?(タイガーマスクは、小松原一男さんの、初監督作品)
1時間30分:時間城崩壊後。鉄郎がリューズのギターを、ぐいってやったのは、墓標の
意味だったのね。今回初めて気付いた(^^;)
1時間32分頃:アルカディア号発進!完璧な原画、動画!かっこいいいいい!
1時間36分頃:車掌さんが「惑星メーテル」を口にする。もちろん知らなかった当時の私、
身震い×2。
1時間45分頃:惑星メーテルでの闘い。このあたりから友永さん?
1時間48分頃:ここ、大判のセルのため、手描きのトレス線。Blu-rayだと手描きと
トレースマシンの違いがハッキリわかる!美しいトレス線だが、小松原さんはトレースマシンの
申し子。鉛筆書きの方がよいかな。(東映が初めてトレースマシンを導入したのは、
小松原さん初監督のタイガーマスクから)
あれ、メーテルのほつれ毛の塗りミス発見。肌色になってる(^^;)
1時間50分頃:真打ち登場、金田さん!!かっこいい!美しい!何度でも見たい!
Blu-ray買ってよかった!
1時51分頃:金田さんのお遊び。戦艦アンドロメダ登場(^^;)。
1時間56分頃:砕けるクレア。この場面で今回初めて泣いた。クレアさんと亡くなった
金田さんが、なんか重なって…
2時間04分頃:メーテルとの別れ。去りゆく999号。最後尾のデッキに車掌さんの姿が。
当時、身震い×3。
2時間05分頃:ラストショット。夕日とビルの間に、波ガラスの撮影処理が!Blu-rayで
初めて発見!
同2時05分頃:城達也さんのナレーションが情感たっぷりにラストを飾ります。
今、万感お思いを込めて汽笛が鳴る
今、思いを込めて汽車が行く
ひとつの度は終わり、また新しい旅立ちが始まる
さらばメーテル、さらば銀河鉄道999
(このあと、たっぷり9秒の間の後)
さらば、少年の日よ…
言い終わった直後に音楽終了。オーバーラップするかのように汽笛。エンディング曲。
完璧な演出です!なんつーか、見た記憶のない懐かしい映画を見たかのような、切ない思い。
そしてラスト:エンディング。
ああ、終わっちゃった。当時悲しかったのは、メーテルとの別れよりも、
鉄郎と物語との別れだった。どんどんカメラがトラックバックしていって、
やがて鉄郎の姿も追えなくなって、街のの明かりに消え、カメラが宇宙までパンしてきて、
『END』の文字。こんな切ないエンディングがあるだろうか。
(ご存じのように続編が造られましたが)
以前のアシスタントさんが、女性にしては珍しい松本アニメのファンで、
ひとしきり盛り上がった後、松本アニメの何が魅力?と問うてみました。
彼女は一言「ムードです」と答えてました。
まさに「999」は、ムーディでメロウな雰囲気に、徹底的に酔える作品のだった。
近頃の松本アニメは、そこいら辺がちょっと足らなくて、思い入れしにくい。
まあ、名作は奇跡の融合ですから、そんなにしょっちゅう起きませんよね。
そんなわけで、実はこのページの日記は、今日で最後です。
現在、ブログに移行すべく、テスト中です。
詳細は追って。
長らくありがとうございました。
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